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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)1696号 判決 1952年3月04日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人藤本信喜の上告趣意は、末尾の書面記載のとおりである。

上告趣意第一について。

論旨は、控訴審たる原審に係属した本件関税法違反事件と、論旨(四)に摘録する長崎地方裁判所島原支部に係属した別件の関税法違反事件(第一審事件)とを、併合して審判をしなかった原判決は、憲法に違反するというのであるが、所論刑訴五条一項において、数個の関連事件が各別に上級の裁判所及び下級の裁判所に係属する場合に上級の裁判所が下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができると規定しているのは、これらの関連事件がいずれも同一審級たる第一審裁判所に係属していることを前提とするのであって、本件のように、一方は控訴審に、他方は第一審に、審級を異にして係属する場合を含むものではない。(かゝる場合に審判の併合を認めれば、一方の事件は、その審判について審級の利益を失うことゝなる)。それゆえ、併合審判すべきものを併合しなかった違法あることを前提として原判決の憲法違反を主張する論旨は、その前提を欠き理由がない。

同第二及び第三について。

論旨は、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。原審が被告人の本件所為を関税法違反の共同正犯に当ると判示したことの正当であることは原判決の説明するとおりであるから、所論は理由がない。なお、本件には刑訴四一一条を適用すべき事由も認められない。

よって、刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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